ナスダック × トークン化で変わる金融市場!
みなさん、こんにちは。今回は、ナスダックが米国証券取引委員会(SEC)に提出したルール変更申請をきっかけに、トークン化された株式や上場投資商品(ETP)が取引プラットフォームで扱われる可能性についてお話しします。一見すると、これはブロックチェーン技術が米国の上場市場に本格的に進出する大きな一歩のように見えますが、実は証券はすでに何十年も前からデジタル化されているのです。真の革新は、単に株式をブロックチェーン上に載せることではなく、トークン化によって市場の動きがより速く、賢く、効率的になるかどうかにあります。
紙からデジタルへ
20世紀の大半、株式の所有は紙の証書で示されていましたが、1960年代後半にはウォール街で書類の山が問題となり、取引週の短縮などの対策が取られました。1973年に設立された Depository Trust Company(DTC)は、証書を金庫に保管し、電子的な記録に置き換えることでこの問題を解決しました。現在、DTCの親会社である Depository Trust & Clearing Corporation(DTCC)が米国の金融市場の基盤を支えています。ヨーロッパや日本でも同様のシステムが導入され、証券は完全にデジタル化されました。つまり、証券自体はすでにデジタルであり、ブロックチェーンはあくまで記録方法の一つに過ぎません。
トークン化の本当の価値:担保の流動性
トークン化の最も注目すべき可能性は「担保の流動性」にあります。担保の流動性とは、資産を迅速に移動・活用できる能力で、マージンや流動性、リスク管理に不可欠です。トークン化により、担保資産は従来のシステムの制約を超えてオンチェーンでプログラム的に移動・再利用が可能になります。これにより、従来のT+1決済の遅延や非効率を解消し、より柔軟で効率的な資本運用が期待されます。
ただし、現在のデジタル資産市場はまだ小規模で、2024年の世界の債券市場は約145兆ドル、米国の国債発行額だけでも約22兆ドルにのぼり、暗号資産全体の時価総額の8倍以上です。したがって、単にブロックチェーン技術への熱狂だけでは市場全体に大きな影響を与えるのは難しいと考えられます。
一方で、国債や高格付け債券を裏付けとしたステーブルコインは、銀行が決済コストを削減し、送金を加速する手段として注目されています。例えば、米国商品先物取引委員会(CFTC)はUSDCやUSDTのようなステーブルコインを米国のデリバティブ市場で担保として認める可能性を探っています。これが実現すれば、ステーブルコインは国債や高格付け債券と並ぶ主流の担保となり、資産を大規模に動かし変換するインフラの重要性が増すでしょう。
これからの展望:市場の動き
今後5年で、トークン化された担保が単なる話題にとどまるのか、それとも市場を変える存在になるのかが見えてくるでしょう。2026年頃には、銀行や資産運用会社が限定的な高格付け商品でトークン化債券やステーブルコインのパイロットを始め、デリバティブ市場での決済にステーブルコインが補完的に使われる可能性があります。2030年には、トークン化された債券やステーブルコインが機関間の主流担保となり、より速く安価で透明性の高い決済や担保の流れが実現するかもしれません。
この未来を実現するには、単に暗号資産化するだけでなく、担保の変換、再利用、統合を可能にする高度なインフラを構築できる企業が勝者となるでしょう。市場参加者は早期にこれらの仕組みを取り入れ、パイロットから日常的な運用へと進めることが重要です。
まとめ
ナスダックのルール変更は金融市場のデジタル進化の一歩ですが、証券はすでにデジタル化されており、トークン化だけでは大きな革新とは言えません。真のインパクトは、国債や企業債、プライベートクレジットなどの大規模資産プールの柔軟性と効率性を解放し、ステーブルコインなどの新しいデジタル手段と統合することにあります。金融の未来は単にブロックチェーン上で資産を管理することではなく、それらを相互運用可能で戦略的に活用できる形にすることにかかっているようです。
この動きは技術的な夢物語ではなく、資本効率を高めるための実務的な必然とも言えます。資本効率が高まれば、企業は市場の変動に強くなり、より良い価格設定や高い利ざやを実現し、競争力を維持できるでしょう。トークン化は単なる資産のデジタル化ではなく、担保の流動性や相互運用性、戦略的な活用を可能にする鍵となるのです。早期にこれを取り入れた機関は、より賢く市場をリードする存在になるかもしれません。
引き続きウォッチしていきたいですね!
