Yann LeCun の AMI Labs が目指す AI 革新
みなさん、こんにちは。今回は、AI 分野で注目を集めている Yann LeCun 氏の新しいスタートアップ「AMI Labs」についてお話しします。
AMI Labs が目指す「ワールドモデル」とは?
Yann LeCun 氏は Meta(旧 Facebook)を離れ、新たに AMI Labs を立ち上げました。この会社は「ワールドモデル」と呼ばれる技術の開発に取り組んでいます。ワールドモデルとは、AI が現実世界を理解し、より知的に振る舞うための基盤となるモデルのことです。名前の「AMI」は Advanced Machine Intelligence の略で、まさに高度な機械知能を目指していることがうかがえます。
この分野は今、AI 研究の中でも特に注目されており、多くのトップ研究者や投資家が関心を寄せています。例えば、Fei-Fei Li 氏が設立した競合の World Labs は、物理的に正しい 3D 世界を生成する製品「Marble」をリリースし、すでに評価額 50 億ドルのユニコーン企業となっています。
資金調達と経営体制
AMI Labs は現在、約 35 億ドルの評価額で資金調達を進めていると報じられています。投資家には Cathay Innovation や Greycroft、Hiro Capital などが名前を連ねており、LeCun 氏自身も Hiro Capital のアドバイザーを務めています。
興味深いのは、LeCun 氏は AMI Labs の CEO ではなく、エグゼクティブチェアマンという役割に就いている点です。CEO は Alex LeBrun 氏が務めており、彼は以前ヘルスケア AI スタートアップの Nabla で CEO をしていました。LeBrun 氏は Nabla と AMI Labs のパートナーシップの一環として、Nabla の役職を退き AMI Labs に移った形です。
Meta との関係と今後の展望
LeBrun 氏は以前 Facebook に買収された Wit.ai の共同創業者で、LeCun 氏が率いていた Meta の AI 研究所 FAIR で働いていた経験があります。さらに、元 Meta ヨーロッパ副社長の Laurent Solly 氏も AMI Labs に参加しているとのことです。
LeCun 氏は Meta の戦略に対して一部批判的な立場を取っているものの、AMI Labs は Meta を最初の顧客にする可能性も示唆しています。また、AMI Labs は大規模言語モデル(LLM)に対しては懐疑的で、特に医療のような高い信頼性が求められる分野での「幻覚(hallucination)」問題を指摘しています。
医療や産業分野での応用を目指す
AMI Labs は、信頼性や安全性が重要な産業プロセス制御、ロボティクス、ウェアラブルデバイス、そして医療分野での応用を目指しています。LeBrun 氏も Forbes のインタビューで、医療分野での活用に大きな期待を寄せていると語っています。
このスタートアップの特徴は、単なる生成モデルではなく、現実世界を理解し、持続的な記憶や推論、計画能力を持ち、安全に制御可能な AI システムを作ることにあります。技術は産業パートナーにライセンス提供される一方で、学術界とも連携し、オープンな研究発表やオープンソース活動も行う予定です。
グローバル展開とフランス本社の意義
LeCun 氏はニューヨーク在住ですが、AMI Labs の本社はパリに置かれます。これはフランスのエマニュエル・マクロン大統領も歓迎しており、パリの AI ハブとしての地位をさらに強化する動きと見られています。その他、モントリオール、ニューヨーク、シンガポールにもオフィスを構える予定です。
ちなみに「AMI」はフランス語で「友達」という意味もあり、LeCun 氏はこの名前に親しみを込めているそうです。
今回の情報からは、AMI Labs が単なる AI スタートアップの一つではなく、現実世界の理解に基づく新しい知能の形を追求していることが伝わってきます。特に医療や産業のような信頼性が求められる分野での活用を目指している点は、今後の AI の発展にとって重要なチャレンジと言えそうです。引き続きウォッチしていきたいですね!
