Physical Intelligence の革新!ロボット版 ChatGPT とは?

みなさん、こんにちは。今回は、サンフランシスコにあるロボティクス企業「Physical Intelligence(フィジカル・インテリジェンス)」の現場を取材した内容をお伝えします。

Physical Intelligenceの現場の様子

この会社の本社は外から見ると、ドアにある小さなパイ(π)記号が唯一の目印。中に入ると、受付もなく、派手なロゴもありません。コンクリート打ちっぱなしの無骨な空間に、長い木製のテーブルが無造作に並んでいます。テーブルの一部はランチ用で、オーストラリアの名物「ベジマイト」やクッキーの箱が置かれている一方、多くのテーブルはモニターやロボットの部品、組み立て中のロボットアームで埋まっています。

訪問時には、ロボットアームが黒いパンツを折りたたもうとしたり、シャツを裏返そうとしたり、ズッキーニの皮をむいたりといった作業を試みていました。まだ完璧ではありませんが、ズッキーニの皮むきは比較的うまくいっているようです。

「ロボット版ChatGPT」を目指す

共同創業者の一人でUCバークレーの教授、セルゲイ・レビン氏は「これはロボットのためのChatGPTのようなもの」と説明します。ここで行われているのは、ロボットの動作データを集めて汎用的なロボット基盤モデルをトレーニングし、そのモデルを使って様々なロボットが新しい動作を学ぶというサイクルです。例えば、ズッキーニの皮むきで学んだ動作を応用して、リンゴやジャガイモの皮むきにも対応できるか試しています。

また、社内にはテストキッチンもあり、ロボットがエスプレッソマシンを操作してラテを作る練習もしているそうです。スタッフのためではなく、ロボットの学習用とのこと。ハードウェアはあえて高価で派手なものを使わず、1台約3500ドルのロボットアームを使っていますが、実際の材料費は1000ドル以下だそうです。レビン氏は「良い知能があれば、安いハードウェアでもカバーできる」と話しています。

創業者と資金調達の背景

もう一人の共同創業者、ラッチー・グルーム氏はオーストラリア出身で、13歳で起業し成功した経歴を持つ若き起業家。彼は投資家としても活躍し、StripeやFigma、Notionなどに早期投資をしてきましたが、Physical Intelligenceのチームと出会い「ここだ」と確信して参加しました。

会社は設立から2年で10億ドル以上の資金を調達し、評価額は56億ドルに達しています。資金の多くは計算リソースに使われており、ハードウェアのコストは比較的抑えられています。グルーム氏は商業化の具体的なタイムラインは示していませんが、資金調達には前向きで「問題解決には常にもっと多くの計算力が必要」と話しています。

独自の戦略と競合状況

共同創業者のクアン・ヴオン氏は、同社の戦略は「クロス・エンボディメント学習」と「多様なデータソース」にあると説明。新しいロボットプラットフォームができても、ゼロから学習を始める必要はなく、既存のモデルの知識を活用できるため、導入コストが大幅に下がるという考えです。

Physical Intelligenceは物流や食料品、チョコレート製造などの分野で実証実験を進めており、一部では既に実用レベルに達しているとのこと。

一方、同じく汎用ロボット知能を目指すPittsburghのSkild AIは、14億ドルの資金調達を行い、すでに商業展開で数千万ドルの収益を上げています。Skild AIは物理的な常識を重視し、インターネット上のデータに頼りすぎる他社のモデルを批判しています。両社のアプローチは哲学的にも大きく異なり、どちらが成功するかは今後数年で明らかになるでしょう。

まとめと感想

Physical Intelligenceは、まだ完璧とは言えないものの、ロボットが日常的な作業を学習し続ける姿が印象的でした。商業化の明確な道筋は示していませんが、長期的な視点で汎用ロボット知能の実現を目指しているようです。ハードウェアの難しさや安全面の課題も多い中、彼らの挑戦は今後のロボティクス業界に大きな影響を与えるかもしれません。

この分野はまだまだ発展途上で、どのアプローチが主流になるかは未知数ですが、こうした研究と実験の積み重ねが未来のロボット社会を形作っていくのだと感じました。引き続きウォッチしていきたいですね!