フィリピン 未銀行層に挑む Salmon の革新

みなさん、こんにちは。今日はフィリピンの金融テック事情について、特に注目のスタートアップ「Salmon(サーモン)」の話をお伝えします。

フィリピンの未銀行化問題とSalmonの挑戦

フィリピンには銀行口座を持たない「アンバンクド」と呼ばれる成人が数百万人います。そんな中、消費者向けの融資市場が徐々に成長し始めています。マニラを拠点とする消費者金融アプリ「Salmon」は、デジタルバンキングをフィリピンの人々に届けるため、最近6,000万ドルの株式資金調達と4,000万ドルの借入を実施しました。

Salmonの創業者は、ロシアのデジタル銀行Tinkoffで経験を積んだPavel Fedorov氏、George Chesakov氏、Raffy Montemayor氏の3人。特にMontemayor氏は2016年からフィリピンでTinkoffの事業展開をリードしていましたが、2022年に3人で独立しSalmonを立ち上げました。

フィリピン市場の特徴とSalmonの戦略

フィリピンは世界でも有数のモバイル利用率が高い国で、若くてテクノロジーに強い人口が多いことが特徴です。一方で金融インフラはまだ十分に整っておらず、既存の銀行サービスに不満を持つ人も多い状況です。Salmonは、信用履歴がほとんどない「アンダーバンクド」層や、既存の貸し手の信頼性に疑問を持つ人々をターゲットにしています。

興味深いのは、Salmonが2024年1月に1963年設立の地方銀行を買収し、銀行免許を確保した点です。これにより、従来の銀行の枠組みを活用しつつ、デジタル金融サービスを展開しています。現在はリボルビングクレジット、分割払いローン、現金ローン、バイクローン、預金など約7~8種類の金融商品を提供中です。

デジタル化で融資をスピードアップ

従来、バイクのローンを組むには数週間の書類手続きや自宅訪問が必要でしたが、Salmonはこれをスマホで完結できるようにしています。顧客はスマホで申請フォームに記入し、数枚の書類をアップロードするだけで、20秒以内に審査結果が出ます。翌朝にはバイクの受け取りが可能になるとのことです。

また、信用履歴ではなく、行動データやデジタルデータをリアルタイムでスコアリングし、返済が順調な人には限度額を素早く引き上げる仕組みを採用しています。さらに、最大62日間の猶予期間を設けており、期限内に返済すれば実質的に無利子になる仕組みも特徴的です。預金金利は最大8%と高めに設定されています。

今後の展望と資金調達の背景

今回の資金調達で得た資金は、事業の拡大と新商品の開発に使われる予定です。市場での成功次第では、今後2年以内に国際展開も視野に入れているそうです。

資金調達は株式と債務の二本立てで行われており、株式は事業運営や成長のため、債務は顧客への貸付資金として使われます。債務調達は北欧の債券市場を活用しているとのこと。これまでに累計3億1,000万ドルを調達しており、今回のラウンドにはSpice ExpeditionsやWashington University Investment Management Companyなどが参加しています。

フィリピンのようにモバイルが普及している一方で金融サービスが遅れている市場では、こうしたデジタルファイナンスのスタートアップが大きな役割を果たす可能性がありそうです。Salmonのような企業がどのように市場を変えていくのか、今後も注目していきたいですね。引き続きウォッチしていきたいですね!