大手銀行が挑む トークン化預金の革新とは?

みなさん、こんにちは。今回は、HSBC、Lloyds、JPMorgan といった大手銀行が「Canton Network」でトークン化された預金に取り組んでいる話題をお伝えします。Digital Asset 社のチーフプロダクトオフィサー、ベルンハルト・エルスナー氏が、このトークン化預金がステーブルコインとはどう違うのか、そして Canton の仕組みがどのように「ブリッジリスク」を排除しているのかを解説しています。

トークン化預金とは?ステーブルコインとの違い

まず、トークン化預金は銀行の預金をデジタル化したもので、法的には普通の銀行預金と同じ扱いを受けます。つまり、資本要件や監督、預金保険も適用されるため、ステーブルコインのように「発行者の資産プールに依存する債権」とは根本的に異なります。エルスナー氏は、トークン化預金の保有者は銀行の預金者であり、KYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)も銀行の枠組みの中で行われるため、機関投資家が資金を安全に置いておける「働く資本」として使える点が大きな違いだと説明しています。

実際、HSBC は Canton 上でトークン化預金のパイロットを完了し、Lloyds は初めてパブリックブロックチェーン上でトークン化された英ポンドを発行、JPMorgan も 2026 年に段階的に JPM Coin を Canton に統合する計画です。これらはすべて Digital Asset 社が開発した Canton Network を使っており、機関投資家向けにプライバシーや規制対応、そして「アトミックコンポーザビリティ(原子性のある連携)」を実現した唯一のパブリックレイヤーワンブロックチェーンとされています。

トークン化預金とステーブルコインは競合ではなく補完関係

エルスナー氏は、トークン化預金とステーブルコインはそれぞれ異なる特徴を持ち、競合するものではなく補完し合う関係だと述べています。ステーブルコインは流動性や利用範囲の広さを重視する一方、トークン化預金はバランスシートの健全性や規制の確実性を重視します。Canton の技術的特徴であるプライバシー保護とネイティブな連携機能が、この両者の共存を可能にしているのです。

JPMorgan の担当者も、トークン化預金は「銀行システムを離れずにスピードと安全性を求める機関にとって実用的で利回りのある選択肢」と表現しており、まさにエルスナー氏の説明と合致しています。

Canton が実現する「ブリッジリスクの排除」

トークン化預金の大きな課題の一つが、異なるシステム間での資産移動に伴う「ブリッジリスク」です。多くの既存の仕組みでは、決済が複数の段階や仲介者を経るため、遅延やリスクが残ります。しかし Canton では、証券の受け渡しと現金の支払いが「アトミック(原子)トランザクション」として同時に完了するため、リスクが根本的に排除されます。HSBC のパイロットでもこれが実証されており、トークン化預金が発行元の銀行の枠組みを離れることなく安全に決済できる点が強調されています。

さらに、Canton は 2026 年に 1 日あたり 3,500 億ドル以上のトークン化資産を処理する見込みで、DTCC(米国の決済機関)や LSEG(ロンドン証券取引所グループ)のデジタル決済ハウス、JPMorgan などが主要な利用者として選んでいることも注目ポイントです。

今回の話を聞くと、トークン化預金は単なるデジタル資産の一種ではなく、既存の銀行システムとブロックチェーン技術を橋渡しする重要な役割を担っているように感じます。ステーブルコインとトークン化預金がそれぞれの強みを活かしながら共存していく未来は、機関投資家の資金運用の幅を広げる可能性がありそうですね。引き続きウォッチしていきたいですね!