
- アメリカの消費者物価指数(CPI)データがさらなるディスインフレを示唆し、9月の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が高まる中、ビットコインは、11万8000ドル近辺で推移した。
- 暗号資産に対する機関投資家の関心は依然として高く、アメリカのビットコインとイーサリアムのETFに大規模な資金流入が続いている。
- 株式市場全体の弱含みにもかかわらず、暗号資産市場は、前向きなセンチメントと立法動向に支えられ、堅調さを示した。
ビットコイン(BTC)は7月16日のアジア取引時間中に11万8000ドル近辺で推移し、6月のアメリカ消費者物価指数(CPI)データがさらなるディスインフレを示唆したことで、トレーダーが9月の連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの可能性を再評価する中、上昇基調を固めた。
コアCPIは5カ月連続で前月比0.1%の上昇にとどまり、株式市場の弱含みにもかかわらず、暗号資産(仮想通貨)市場全体に強気なセンチメントを広げた。
「このデータは暗号資産にとって好材料だ。FRBが9月に利下げを行う可能性が高まり、暗号資産業界への資金流入がさらに加速する可能性があるからだ」と、OSLの最高商務責任者であるユージン・チャン(Eugene Cheung)氏は述べた。
「ビットコインの価格は、GENIUS法が手続き上の投票で否決された後、一部の暗号資産株が下落したにもかかわらず、トレーダーの楽観的な見方を反映して堅調に推移した」とチャン氏は付け加えた。
このデータを受けて、イーサリアム(ETH)は反発し、現物ETF(上場投資信託)への資金流入と、トークン化されたドルの基盤としてのETHの役割を強化すると見られる新しいステーブルコイン法案の可決を背景に、3100ドルの水準を回復した。
ドージコイン(DOGE)は19セント近辺で推移し、日次で2.7%の小幅な上昇を記録し、週間の上昇率は約15%に拡大した。
ソラナ(SOL)は163ドルで安定しており、エックス・アール・ピー(XRP)は2.92ドル近辺で取引され、安定した需要を示している。バイナンスコイン(BNB)は688ドル近辺で取引され、最近の上げを維持しており、トロン(TRX)は0.03ドル近辺で横ばいとなっている。
機関投資家の資金流入は引き続き堅調だった。アメリカのビットコイン現物ETFは9日連続で純流入を記録し、火曜日には4億300万ドル(約604億5000万円、1ドル=150円換算)が追加された。SoSoValueによると、ブラックロック(BlackRock)のIBITだけでも4億1600万ドル(約624億円)の新規資金が流入し、GBTC、FBTC、ARKBからの流出総額7000万ドル(約105億円)を相殺した。
イーサリアム現物ETFも1億9200万ドル(約288億円)の流入を記録し、8日連続のプラスとなった。
マクロ経済では、アジア市場が下落し、アメリカの株式先物も下落した。トレーダーが潜在的な利下げのペースを再評価したためだ。一部企業は関税関連コストを消費者に転嫁していると報じられているが、FRB当局者は慎重な姿勢を維持している。ダラス連銀のローリー・ローガン(Lorie Logan)総裁は、労働市場やインフレがさらに弱まらない限り、中央銀行は金利を据え置く必要があると指摘した。
それでも、暗号資産トレーダーは短期的な政策の混乱を無視しているようだ。
「GENIUS法の一時的な後退にもかかわらず、ビットコインは11万8000ドル前後で堅調なポジションを維持している」と、LVRGリサーチ(LVRG Research)のディレクター、ニック・ラック(Nick Luck)氏は述べた。「我々は、現在の上昇トレンドが今年後半にさらなる価格上昇の余地を残しているとの見方を維持している」。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Ether, Dogecoin Lead Modest Market Gains, Bitcoin Holds $118K as CPI Print Fuels Rate Cut Bets