ビットコイン嫌いのバンガード、意図せずストラテジー社の最大の機関投資家に

ビットコイン嫌いのバンガード、意図せずストラテジー社の最大の機関投資家に
  • ブルームバーグの報道によると、ビットコインに反対する姿勢で知られる資産運用大手バンガード(Vanguard)は、ストラテジー(Strategy)社の株式を2000万株以上保有しており、同社の最大の機関投資家である可能性が高い。
  • バンガードのストラテジー社への投資は、ビットコインへの意図的な投資ではなく、パッシブ型インデックスファンドの保有によるものである。
  • ビットコインに特化した企業に数十億ドルを投資しているにもかかわらず、バンガードは顧客へのビットコイン現物ETFの提供を拒み続けている。

10兆ドル規模の資産運用会社で、暗号資産(仮想通貨)業界ではビットコイン現物ETFの顧客への提供を拒んでいることで知られるバンガードは、ビットコイン(BTC)の購入と保有を事業モデルの中核とするストラテジー社の最大の機関投資家として浮上した。

ブルームバーグの報道によると、バンガードは現在、ストラテジー社の株式を2000万株以上保有しており、これは同社の株式の8%を超える割合で、キャピタル・グループ(Capital Group)を凌いで最大の機関投資家となる。この保有株式の価値は、約92億6000万ドル(約1兆3700億円、1ドル=148円換算)に上る。

「神にはユーモアのセンスがある」と、ブルームバーグのアナリストで『The Bolge Effect』の著者でもあるエリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は述べ、次のように続けた。

「バンガードは自らこの道を選んだ。インデックスファンドを運用する以上、良くも悪くも、すべての株式を保有しなければならない。その中には、個人的に好まないものや、良しとしない株式も含まれる」。

「機関投資家の認知症」と、より率直な表現で述べたのは、ヴァンエック(VanEck)のデジタル資産リサーチ責任者マシュー・シゲル(Matthew Sigel)氏だ。

「公に嘲笑しているものに対して90億ドルもインデックス投資する行為は、戦略ではない」と、シゲル氏はXへの投稿で主張した。

バンガードのエクスポージャーは、ビットコインやストラテジー社の戦略への意図的な投資ではなく、パッシブ運用型のインデックスファンドから来ている。

ストラテジー株は、Total Stock Market Index Fund(VITSX)、Vanguard Extended Market Index Fund(VIEIX)、Vanguard Growth ETF(VUG)など、バンガードの複数のファンドに組み込まれている。

これらのファンドは広範な株式指数の構成を反映しており、特定の基準を満たす場合に、ストラテジー社などの企業の株を自動的に組み入れる。

エグゼクティブ・チェアマンのマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏が率いるストラテジー社は、ビットコイン保有企業へと転換し、2020年以降、現在の価格で720億ドル相当の60万枚以上のビットコインを取得してきた。

ストラテジー社の株式は、特に米国がビットコイン現物ETFを承認するまで、ビットコインへのエクスポージャーの代理として機能してきた。

それでもバンガードは、依然としてこの資産クラスに反対している。競合のブラックロック(BlackRco)がiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust:IBIT)をローンチし、大成功を収めているにも関わらず、バンガードは顧客にビットコインETFへのアクセスを提供することを拒否し続けている。

IBITは、最も速いペースで運用資産残高が800億ドルを超えるまでに成長したETFとなった。

昨年5月に暗号資産に友好的とされるサリム・ラムジ(Salim Ramji)氏がCEOに就任したにもかかわらず、バンガードの姿勢は変わっていない。

「企業は、自らが掲げる理念と提供する製品・サービスにおいて一貫性を保つことが重要だと考える」と、ラムジ氏は就任後に述べた。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Poetra.RH / Shutterstock.com
|原文:Anti-Bitcoin Vanguard Might Be the Largest Institutional Holder of MSTR Stock