RWAトークン化市場、3年間でほぼ5倍に成長

RWAトークン化市場、3年間でほぼ5倍に成長
  • 現実資産(RWA)のトークン化市場は今月、240億ドルの規模に達し、3年間で380%成長した。
  • RedStone、Gauntlet、RWA.xyzが共同で発表した「オンチェーン金融における現実資産に関する報告書」では、同市場が2034年までに30兆ドルに達する可能性があるとするスタンダードチャータード(Standard Chartered)の予測を引用している。
  • 同報告書はまた、RWAがステーブルコインと同様に、米ドルの優位性を強化する役割を果たす可能性があると主張している。

RedStone、Gauntlet、およびRWA.xyzの報告書によると、現実資産(RWA)のトークン化市場は、わずか3年間で380%成長し、今月240億ドル(約3兆4600億円、1ドル=144円換算)の規模に達した。これは、伝統的金融がブロックチェーン技術を採用することに利益を見出していることを示す兆候である。

「資産のトークン化は、2024年から2025年にかけて実験的なパイロット段階から大規模な機関投資家による採用段階へと明確に移行した」と、「オンチェーン金融における現実資産に関する報告書」は結論付けている。

トークン化とは、株式や債券などの現実資産を、ブロックチェーン上で売買や取引が可能なトークンとして表現するプロセスを指し、従来のインフラにつきもののコストや非効率性を削減することを目的としている。

この市場の成長に関する予測には大きく幅があるが、多くの予測では「兆ドル」規模が想定されている。マッキンゼー(McKinsey)は2兆ドル市場になると予測しており、BCGは2030年までに16兆ドルに達すると見ている。

同報告書は、スタンダードチャータードが2034年までに約30兆ドルに達すると予測していることを指摘している。

「RWA市場の爆発的な成長は単に驚異的な数字であるだけではない。これは伝統的金融が、ブロックチェーンインフラに真の有用性を見出している証拠である。ブラックロック(BlackRock)の29億ドルのBUIDLファンドからアポロ(Apollo)のACREDプライベートクレジットトークン化まで、私たちは金融史上最大の資本移動となる可能性があるものの初期段階を目撃しているのだ」と、報告書は述べている。

法定通貨などの伝統的金融資産の価値に連動したステーブルコインは通常、RWAのトークン化とは見なされないが、同報告書は、トークン化された現実資産もステーブルコインと同様の役割を果たす可能性があると主張している。

ベッセント米財務長官は、ステーブルコインは米ドルの優位性を強化する可能性がある、と述べているが、この見解はトークン化された国債にも同様に当てはまる可能性があるということだ。

「これらの言葉は、より広範な米ドル建てのRWAカテゴリーの中で解釈されるべきである。トークン化された国債は、政府の運営資金調達と公的債務レベルの管理に直接貢献し、トークン化された社債やプライベートクレジットは、グローバルなデジタル経済における米ドル建ての投資機会を拡大することで、ドルの優位性を強化する」と報告書は述べている。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:sergeitokmakov/Pixabay
|原文:Real-World Asset Tokenization Market Has Grown Almost Fivefold in 3 Years