
- GENIUS法が利回りのあるステーブルコインを禁止するとの見方が高まる中、イーサリアムはビットコインを上回るパフォーマンスを示している。
- イーリアムが3100ドルを超えたため、ビットコインとの比率は大幅に上昇し、5月以来の最高のパフォーマンスを記録した。
10xリサーチ(10x Research)の創設者、マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏によると、まもなく施行されるGENIUS法案により、金利のようなリターンを約束する(利回りのある)ステーブルコインが禁止される可能性が高いため、イーサリアム(ETH)はビットコイン(BTC)に対して優位に立っているという。
TradingViewによると、バイナンス(Binance)上場のETH/BTC比率(ETHのBTC建て価格)は7月15日に5.96%以上上昇して0.02670となり、5月13日以来の最高値を記録した。
この上昇は、数週間にわたるレンジ相場の終焉を示し、今後もETHのアウトパフォーマンスが続くことを示唆している。ETHのドル建て価格は4%以上上昇し、2月以来初めて3100ドルを超えた。
ティーレン氏によると、ETH価格高騰の主な要因は、アメリカのステーブルコイン法案であるGENIUS法が可決され、ステーブルコイン発行者の利息支払いが制限されるという期待の高まりにあるようだ。
「これは、暗号資産エコシステムにおけるイーサリアムの重要性を強化する可能性がある」とティーレン氏はCoinDeskに共有された顧客向けメモの中で述べた。


ティーレン氏はさらに、GENIUS法により、Ethena(エセナ)の50億ドル(約7500億円、1ドル=150円換算)規模の合成ドルUSDeに注目が集まっていると付け加えた。この合成ドルは、ユーザーから担保として受け取ったETHと同額の永久先物を空売りすることで、デルタヘッジ、つまりキャッシュ・アンド・キャリー裁定取引を実現している。こうしてUSDeの利回りを生み出しているのだ。
従来から広く受け入れられてきた理論では、ショートポジションの構築は先物市場における売り圧力を高め、先物価格と現物価格の差であるベーシスを抑制すると考えられてきた。
「Ethenaは現在、イーサリアムの260億ドル(約3兆9000億円)の未決済建玉の約4%を占めており、先物を継続的に売却することでETH価格に下落圧力をかけている」とティーレン氏は述べた。
Ethenaはすでに、USDeのような合成ドルに関する規制の明確化を求めて、アメリカ証券取引委員会(SEC)に連絡を取っている。彼らは、合成ドルは証券ではなく決済手段として機能し、決済ステーブルコイン発行者を規制するGENIUS法およびSTABLE法の適用範囲外だと主張したとされている。
Ethenaはポルトガルのリスボンに本社を置いており、新規ドル流入は主にアメリカ国外から行われている。そのため、Ethenaがアメリカの規制動向にどのように適合するかは依然として不透明だ。
「Ethenaがアメリカのステーブルコイン法を遵守した場合、ETHの購入を完全に停止せざるを得なくなる可能性がある。しかし、市場はこの動向を異なる解釈をしているかもしれない。ETHの資金調達率(ファンディングレート)の上昇に支えられ、ENA/USDTは上昇を続けている」とティーレン氏は述べ、USDeはアメリカでは提供されていないため、Ethenaはリスクにさらされていないと付け加えた。
Ethenaは好調な業績を上げている
TokenTerminalによると、Ethenaは過去12カ月間で約3億ドル(約450億円)の総収益を上げており、テザー(Tether)、イーサリアム(Ethereum)、サークル(Circle)、ソラナ(Solana)に次ぐ規模となっている。また、このプロトコルは1カ月で1500万ドル(約22億5000万円)の手数料収入も獲得している。
「資金調達率の上昇に伴い、Ethenaは非常に好調な業績を上げており、多くのヘッジファンドが資金調達アービトラージ戦略を導入するようになっている。これは、イーサリアムETFへの資金流入増加につながると期待できる」とティーレン氏はCoinDeskに語った。
6月に超党派の支持を得て上院で可決されたGENIUS法案は、7月17日までに下院で採決にかけられる見込みだ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Ether Races 6% Against Bitcoin as GENIUS Act Puts Spotlight on Yield-Bearing Stablecoins: Analyst