LN Trends 2025年7月(vol.9)

LN Trends 2025年7月(vol.9)

暗号資産(仮想通貨)取引所bitbankを運営するビットバンクが公開した「LN Trends」最新号を転載してお届けします(LN:Lightning Network)。

Ambossが提供する「Rails」:Lightning Networkを活用したビットコイン利回りサービス

参照:Rails公式サイト

概要:Ambossの「Rails」は、ビットコインを第三者に預けることなくLightning Networkを活用して流動性を提供し、利回りを得るための自動運用型サービスです。

ユーザーは自らのノードを運用しますが、Ambossが制限付きで操作を代行し、収益性の高いチャネルの開設・閉鎖を自動で実行します。

説明:ユーザーは自らの秘密鍵を保持したまま、Ambossの提供する自動運用機能を通じてノードを効率的に管理できます。AIが常時ノード状況を監視し、最適なルーティング収益や流動性貸出を狙ってチャネルを調整してくれます。

主な収益源は、Lightningネットワーク上の決済ルーティングによる手数料と、Magma Marketplaceにおける流動性リースによる収入です。特に、ビットコインを保有する企業やカストディ業者向けに設計されており、ほぼ手放しでLN運用ができる点が特徴です。

Magmaでの流動性提供は、Ambossの他サービスであるLiquidity Subscriptionsにおけるインバウンドキャパシティの供給源としても機能します。

Speedの支援でSteak ‘n ShakeがLightning Networkを導入

参照:Speed公式ブログ

概要:米国のファストフードチェーン「Steak ’n Shake」は、Speed社のLightning対応決済APIを活用し、全米393店舗でLightning Networkによる暗号資産決済を導入しました。

対応したのは店舗内キオスク端末とドライブスルー向けPOS端末の2種類で、どちらもLightning決済を可能にする仕組みです。

説明:店舗内では、注文用のキオスク端末にLightning決済用のQRコードが表示され、任意のLightning対応ウォレットを使って決済することができます。

参照:Speed公式ブログ

またドライブスルーでは、専用に開発されたPOS端末が導入され、決済金額をドルやユーロで表示する機能も備えています。

Steak ’n ShakeがLightning決済を採用した背景には、即時決済の利便性、クレジットカードに比べて大幅に低い手数料、チャージバックの防止、そしてグローバル対応といった利点があります。

Speed社はカストディアル型のLightningウォレット「Speed Wallet」も提供しており、Taproot Assetsによる非公式USDTにも早期対応している点でも注目されています。ウォレットとは別に、今回のような事業者向けの決済APIも展開しています。

Boltz Pro、ベータ版を経て正式リリースへ

参照:Boltz Pro公式サイト

概要:Boltz Proは、ユーザーがBoltzの流動性バランスに貢献する方向でスワップを行うことで、報酬としてマイナス手数料(実質的な手数料還元)を受け取ることができるサービスです。主にノード運営者やLP事業者など、大口かつプロフェッショナルな利用者層を対象としています。

説明:Boltz Proでは、ネットワークの流動性状況に応じてスワップの手数料が調整されます。たとえば、Lightningからビットコインへのスワップが過剰でオンチェーン流動性が不足している場合、逆方向のビットコインからLightningへのスワップにマイナス手数料(例:-0.1%)が適用され、ユーザーは報酬を受け取ることができます。

正式版では、ベータ版初期と比較してマイナス手数料の発生を通知するTelegramボット、取引ページでの手数料表示、Boltz Clientによる自動化対応といった新機能が追加され、利便性と運用効率が向上しています。

なお、通常のBoltzと比べて最小スワップ数量が100万satsに設定されており、経路探索に時間を要する場合があるなど、大口やプロ向けに最適化された設計となっています。

Block、2026年までにSquareでビットコイン決済を導入へ

参照:Square公式X

概要:Block社は、SquareのPOSアプリにLightning Networkを統合し、2025年後半からビットコイン決済の提供を段階的に開始、2026年までに対象加盟店全体への展開を計画しています。

また、新サービス「Bitcoin for Businesses」を通じて、売上のBTC変換やQRコード決済などをアプリ内でシームレスに完結できる環境を提供します。

説明:Lightning Networkの統合は、段階的にビットコイン決済を提供する形で進められ、最終的にはSquareのPOSを利用する全ての加盟店を対象とする見通しです。ただし、この取り組みは各地域の規制当局からの承認を前提としています。

「Bitcoin for Businesses」は、2024年に導入された自動BTC変換機能「Bitcoin Conversions」を基盤としており、ビットコインによる店舗決済の実用性を高めることを目的としています。アプリ内でQRコードを用いた支払い、リアルタイム為替レート計算、即時清算が可能となっており、加盟店側のオペレーションもシンプルに保たれています。